いじめアンケートに子どもは本当のことって書いてくれますか?
正直、あまり書いてくれていない気がしています。
何のためにいじめアンケートをしているんでしょう?
どの学校でも生徒指導主事の指示のもと、いじめアンケートを実施していると思います。
ですが、本当のことをきちんと書いていない可能性もありますよね。
本当のことを書いてくれないのでは、アンケートの意味がないですよね…
気が付けば「やらなくてはいけない」から、いじめアンケートを行っているのではないでしょうか。
いじめアンケートが何のために、どういう目的で行われ、どうすればよいのかを改めて考える必要があるのではないでしょうか。
そこで、『生徒指導リーフLeaf.4 いじめアンケート』の要点解説をしていきたいと思います。
「生徒指導リーフって何?」
生徒指導に関する問題点や疑問点などにスポットを当てて、解説や提案をしている生徒指導資料です。国立教育政策研究所から発行されています。
ただ、残念ながら先生方にあまり浸透していない印象があります。
そのうえ読んでも、何をどうしたらいいかが分かりにくいです。
国立の機関が生徒指導の方針を示しているので、少なくとも公的に認められている内容になっています。
そんな生徒指導リーフLeaf.4『いじめアンケート』を、シチサン目線で解説します!
- いじめアンケートの目的
- 記名式と無記名式のどちらがいいのか
- 「いじめアンケートに関して、まず何をしたらいいのか」と思うあなたが今やるべきこと
- シチサン(生徒指導に関するブログを書いています)
- 小・中学校教員経験6年、生徒指導主事経験3年
- 現在は民間企業でB to B営業職
生徒指導リーフの内容を受けて、
それで、何をすればいいんですか?
という先生へ、最後に具体的に何をやるべきか、ということも共有しています!
ぜひご参考にしてみてください!
生徒指導リーフLeaf.4は、主にいじめアンケートを作成している生徒指導主事の先生向けの内容となっています。
本記事では、なるべく多くの先生方にお役に立てるよう、簡潔に内容をお伝えいたします。
いじめアンケートの目的は何?
確かに、いじめアンケートの実施によって誰がいじめているのかを特定し、解決する場合もあります。
ですがこの生徒指導リーフは、アンケートに記名させ、いじめの発見を目的とすることを真向から否定しています。
では、記名式アンケートがよくない理由とアンケートの目的について、
ここからは解説していきます!
記名式アンケートがよくない3つの理由
記名式アンケートがよくない理由は次の3つです。
- 児童生徒が回答しづらいため
- 犯人捜しが目的ではないから
- 不完全な情報に教員が振り回されるため
1つずつ解説しますね。
児童生徒が回答しづらいため
記名式のいじめアンケートによって、いじめが発覚し、被害者と加害者を特定し解決すればそれは素晴らしいことです。
ですが、反対に記名式のいじめアンケートによって、いじめがより見えにくくなる可能性があります。
例えば、いじめが現在も進行中のとき、深刻な内容であっても被害者がその事実を先生など他人に伝えられないことがあります。
「チクったことがばれたらどうしよう」
「先生が指導して、余計にいじめがひどくなるかもしれない」
こうなると、名前を書くせいで回答しづらくなり、何もなかったかのように提出する子どもが出てきてしまうんです。
その結果、次のような事態に陥ってしまう可能性があります。
- 子どもが黙っているだけなのに、先生はいじめ0だと思い込む
- アンケートで訴えが出た事例だけ先生が対応するようになる
- 現在進行中の深刻な事例を見落とす
この状況は必ず避けたいところですね。
ニュースなどで、こうした対応を取ってしまった学校の例を見たことがあると思います。
記名式アンケートだと、先生がアンケートの結果に依存してしまうことが、このような事例を生んでしまう原因になっています。
犯人捜しが目的ではないから
いじめアンケートの目的は、犯人捜しではありません。
記名式のいじめアンケートでは、アンケートの結果に依存してしまう恐れがあります。
そうなると、先生は犯人捜しに没頭することになります。
これでは、いじめアンケートの目的とズレてしまいます。
いじめアンケートの目的は、
いじめがどの程度起きているのかを定期的に把握すること!
です。
犯人捜しに没頭して、被害者・加害者を「発見できている」と思い違いをしないようにしましょう!
不完全な情報に教員が振り回されるため
先にも書いたとおり、記名式のいじめアンケートでは、子どもは回答しづらいです。
ありのままを書く子どももいれば、事実を隠してしまう子どももいます。
そうなると、アンケートの結果は完全な情報とはなりません。
不完全な被害者・加害者リストになってしまいます。
そうしたリストがあるばかりに、先生の意識はリスト上の子どもに集中します。
いじめが現在も進行中の事例や、深刻な内容の事例ほど見逃してしまうと、ゾッとしますよね。
皮肉なことに、アンケートのせいで見つけられないいじめが出てきてしまうんですね。
アンケートはいじめ発見器ではない、ということを覚えていてくれると嬉しいです。
「いじめアンケートに関して、まず何をしたらいいのか」と思うあなたが今やるべきこと
それで、まず何をすればいいんですか?
ここまでは生徒指導リーフの内容についてお話してきましたが、ここからは何をやるべきかお話します!
とはいえ、いじめアンケートの内容はそう変えられないと思うので…
あなたが目の前のことでできることとして紹介します。
いじめアンケートに関わることですべきことは、次の3点です!
- プライバシーを必ず守る
- 疑問があれば、生徒指導主事に聞く
- 悩みを打ち明けやすくするため、児童生徒の話をしっかり聞く
それぞれ解説しますね。
プライバシーを必ず守る
他の子どもがアンケートに何を書いたのか、気になる子どももいます。
先生の手元をのぞき込んだり、勝手に先生の机の上で見ていたりしていませんか?
何があっても、絶対に見せてはいけません!
誰かが見てしまうようなアンケートでは信用できません。
そうなると、記名だろうが無記名だろうが本当のことは書いてもらえなくなります。
信用できて初めてアンケートが成立します。
そのためにも、プライバシーは必ず守りましょう!
アンケートの匿名性を高めるには、先生が大封筒に入れて回収したり、すぐに職員室に持っていったりするなどして、子どもの目につかないようにしましょう!
疑問があれば、生徒指導主事に聞く
いじめアンケートは学校によって、それぞれ違います。
自治体によっては、指定のアンケートがあることもあります。
そのいじめアンケートは、生徒指導主事の指示のもとに行われているはずです。
記名・無記名の考え方や内容について、疑問があれば聞いてみましょう!
その学校のいじめアンケートに対する考え方を学ぶことができますよ!
そうすることで、学校の指導方針が少しずつ掴めてきて、指導していきやすくなります!
悩みを打ち明けやすくするため、児童生徒の話をしっかり聞く
アンケートに一番頼らずに済む方法は、子どもから情報が入ることです。
そのため、常日頃から子どもの話は積極的に聞くことが超重要です!
子どもの話を聞く習慣があれば、子どもから悩みを打ち明けやすくなります。
もし、反対にいつも話を聞いてくれていなかったら、その先生には悩みは言いづらいですよね。
子どもと面談する機会を積極的に設けて、情報が集まりやすくすると最高です!
まとめ:いじめアンケートは情報を得る手段の一つ、それ以上でもそれ以下でもない!
いじめアンケートについて解説しました!
いじめアンケートの目的は、
いじめがどの程度起きているのかを定期的に把握すること!
把握するためには「無記名式アンケート」で実施することが大切!
そして、「記名式アンケート」がよくない理由を3点解説しました。
- 児童生徒が回答しづらいため
- 犯人捜しが目的ではないから
- 不完全な情報に教員が振り回されるため
じゃあ何をすればいいの?って思う先生へ、まずやるべきことは次の3つです!
- プライバシーを必ず守る
- 疑問があれば、生徒指導主事に聞く
- 悩みを打ち明けやすくするため、児童生徒の話をしっかり聞く
いじめアンケートの目的は、いじめがどの程度起きているか把握すること、というのは先生によっては少し納得がいきにくい部分かもしれませんね。
実は、最初はシチサンもちょっと納得いきませんでした。
ただ、アンケートの結果に振り回されて、実態が見えなくなっては本末転倒です。
そういった意味では、アンケートは情報を得る手段の一つとして考えておく方が妥当だと思います。
いじめや子どもの悩みは、アンケートに頼らず、先生の耳に入ってくる情報を大切にしていきましょう!
参考になったら嬉しいです!
読んでくれてありがとうございましたー!