学級活動などの特別活動で、学校や学年の行事に合わせたことしかしていません。
特別活動で、子どもに何を学ばせたらいいんだろう?
生徒指導の観点での特別活動の学びについて解説します!
特別活動って、何を学ばせればいいか分からないですよね。
教科書がないので、学びを与えにくいと思います。
学校行事や、掲示物を作成などで、なんとなく授業時数を消費しがちですよね。
そこで、『生徒指導リーフLeaf.6 特別活動と生徒指導』の要点解説をしていきたいと思います。
「生徒指導リーフって何?」
生徒指導に関する問題点や疑問点などにスポットを当てて、解説や提案をしている生徒指導資料です。国立教育政策研究所から発行されています。
ただ、残念ながら先生方にあまり浸透していない印象があります。
そのうえ読んでも、何をどうしたらいいかが分かりにくいです。
国立の機関が生徒指導の方針を示しているので、少なくとも公的に認められている内容になっています。
そんな生徒指導リーフLeaf.6特別活動と生徒指導を、シチサン目線で解説します!
- 特別活動(学級活動)で何を学ばせればいいのか
- 「特別活動を通して成長させるために、まず何をしたらいいのか」と思うあなたが今やるべきこと
- シチサン(生徒指導に関するブログを書いています)
- 小・中学校教員経験6年、生徒指導主事経験3年
- 現在は民間企業でB to B営業職
生徒指導リーフの内容を受けて、
それで、何をすればいいんですか?
という先生へ、最後に具体的に何をやるべきか、ということも共有しています!
ぜひご参考にしてみてください!
特別活動(学活など)って生徒指導と関係あるの?
とっっっても関係あります!
特別活動には、生徒指導において次の3つの学びのポイントがあります!
- 児童生徒に「自己存在感」を与える
- 児童生徒相互の「共感的な人間関係」を育てる
- 「自己決定」の場を用意して自己実現のチャンスを与える
そんなポイントをどうやって学ばせればいいんですか?
学ばせる方法は後半に紹介しますね。
特別活動にはいろんな場面があるので、まずざっくりとどんな場面があるかお伝えします。
では、生徒指導の面から、場面とその取り組み例をお伝えしていきます!
児童生徒に「自己存在感」を与える
次の図は、「自己存在感」を与える取り組みの例をまとめたものです。
得意なことや個性などを生かすことが、自己存在感につながることが分かります。
逆を言えば、子ども自身に合っていないことをさせ続けると、どんどん自己存在感が失われ、学級への存在意義が薄れてしまいます。
そのため、まずは子ども自身に得意なことや個性を認識させてあげることが大切になりますね。
児童生徒相互の「共感的な人間関係」を育てる
次の図は、「共感的な人間関係」を育てる取り組みの例をまとめたものです。
子ども同士で、互いに立場や考え方が違うことが大前提です。
違うからこそ、共感することが重要になるんですよね。
子どもは、自分と違うと感じたら、言葉や態度で攻撃する可能性があります。
未熟なうちは、違いを受け入れられないことは多少仕方ありません。
ですが、誰かを傷つけるようなことにはなってほしくないですよね。
特別活動を通して、共感し、違いを認め合える関係性が築けるといいですね。
「自己決定」の場を用意して自己実現のチャンスを与える
次の図は、「自己決定」の場を用意して自己実現のチャンスを与える取り組みの例をまとめたものです。
自分のことは自分で決める!
何事も子ども自身が決めていくことは大切なことです。
自己決定には、子どもにとって何かしら理由や意図があるので、達成できたとき、大きな自信と成長に繋がります!
ただ、「何でそれに決めたんだ?」と思うことは、素直に確認した方がいいです。
例えば、体育のソフトボールで打った直後に3塁へ走っていた運動苦手な子どもが、進級して野球部に入ろうとしてたら、「どしたどした?」ってなりますよね。
「特別活動を通して成長させるために、まず何をしたらいいのか」今やるべきこと
それで、まず何をすればいいんですか?
ここまでは生徒指導リーフの内容についてお話してきましたが、ここからは何をやるべきかお話します!
特別活動の目標を見ても、抽象的で何をすればいいか分かりづらいですよね。
望ましい集団活動を通して,心身の調和のとれた発達と個性の伸長を図り,集団や社会の一員としてよりよい生活や人間関係を築こうとする 自主的,実践的な態度を育てるとともに,人間としての生き方について の自覚を深め,自己を生かす能力を養う。
中学校学習指導要領 第6章 第1 目標
かといって、「特別活動させるぞ!集団活動しよう!」と先生が思っても、まず子どもたちは何もできないことがあります。
「話し合いましょう!」の直後の無言のような状態ですね…
そんな時は、3つのポイントが子どもたちの中にまだ育っていないのかもしれません。
子どもたち自身で活動できるようにするために、活動までにまず先生の力が必要になります。
そこで、3つのポイントを伸ばすためにまずずべきことは次のとおりです!
- 自己存在感
どんなキャラクターなのか言語化してあげる
- 共感的な人間関係
共感の仕方を伝えておく
- 自己決定
児童生徒に質問しながら決定させていく(教員が決めない)
それぞれ解説しますね。
どんなキャラクターなのか言語化してあげる
前提として、個性とか得意なことがはっきりある子どもはほぼ問題ありません。
なぜなら、その時点でおそらく自己存在感があるからです。
ここで対象にしているのは、個性や得意なことがまだ分からない子どもたちです。
子どもも大人も、多くの人が悩むことではないでしょうか。
そんな子どもたちへ、先生が教えてあげてください!
教えることは、「先生から見てその子どもはどんなキャラクターか」です。
キャラクターと考えると言葉にしやすいのではないでしょうか。
よく笑う子、声が大きい子、ずる賢い子、ゲームのことだけ異常に話す子など、あなたの学級には様々なキャラクターの子どもたちがいると思います。
その子に、なるべく前向きなキャラクター像に言語化してプレゼントしてあげてください。
きっと、個性や得意なことはなくても、自己存在感を伸ばすきっかけになると思います。
共感の仕方を伝えておく
大前提、子どもは共感が上手ではない子がほとんどです。
考え方や立場が違うと「違う」「あり得ない」といった否定の言葉が引き出されやすいです。
そんな言葉をぶつけあうのは、よい交友関係には発展しなさそうですよね。
なので、子どもが学級やそれぞれのコミュニティの仲間とよい交友関係を築きたいのであれば共感の仕方を伝えておく必要があります!
共感の仕方と言っても、リアクションのやり方だけです。
簡単なので、ぜひ先生も毎日実践してください!
相手の発言に共感するリアクション
- いいね!すごいね!
- なるほどなー
- ちょっと分かるかも
- あー確かに!
- そうかもしれないね
相手の発言を否定しないために、疑問形でリアクション
- 本当に!?
- それじゃあコレは?
- それって大変じゃない?
- もうちょっと教えて?
- どうやってできたの?
これらのリアクションをされて、イヤな気持ちになることはそうありません。
共感によって、互いが認め合う関係に近づく一歩になります!
児童生徒に質問しながら決定させていく(教員が決めない)
子どもが悩んだり決めかねたりしている時、自己決定のチャンスです。
時間をかけて考えさせて、結論を出させてあげるべきです。
ただ、自己決定ができず、悩み続ける子どももいると思います。
そんな時は、質問しながら子ども自身で決定させていきましょう!
簡単な質問と、流れだけ覚えておくと、かなり使えます!
質問と流れはざっくりと次のとおりです。
- どうしたの? ー テーマ決め
- どうしたい? ー 目標の設定
- 何で一番悩んでる? ー 問題の具体化
- こういうことで悩んでいるんだね ー 現状の整理
- これを決めたらどんないいことがある? ー 目標のイメージ
- どうやって決める? ー 決定の方法
優しく時間をかけて質問してあげれば、子どもは自己決定しやすくなります。
自己決定が苦手な子どもに、ぜひ聞いてあげてみてください!
子ども自身で決められれば、自己実現につながり、自信がつきます!
先生「~~したらいいから、こうしなさい」
この決めつけは本当に良くないです。子どもの学びになりません。
せっかくの自己決定の場が失われます。
まとめ:上手に特別活動をやるよりも、学びがある特別活動にしよう!
特別活動と生徒指導について解説しました!
特別活動での生徒指導に関するポイントは次の3つ!
- 児童生徒に「自己存在感」を与える
- 児童生徒相互の「共感的な人間関係」を育てる
- 「自己決定」の場を用意して自己実現のチャンスを与える
じゃあ何をすればいいの?って思う先生へ、3つのポイントに合わせて、やるべきことは次のとおりです!
- 自己存在感
どんなキャラクターなのか言語化してあげる
- 共感的な人間関係
共感の仕方を伝えておく
- 自己決定
児童生徒に質問しながら決定させていく(教員が決めない)
特別活動を上手にしようと、頭を悩ませている先生を今までたくさん見てきました。
でも本来大切なことは、「自己存在感」・「共感的な人間関係」・「自己決定」について経験したり身に付けたりすることです。
そんな学びのある特別活動にしていけると、子どもにとって最高だと思います。
やらされてる感のある特別活動では、学びになりません。
しっかり子どもが成長する特別活動を目指してみてください!
参考になったら嬉しいです!
読んでくれてありがとうございましたー!