学級の子どもが不登校になったら…と思うと不安です。
不登校の予防について、どう考えればいいのかな?
不登校を予防していく考え方はあります!
ただ、先生にできることは限界があるので、防げない事案があることは事実です。
不登校対策は学校教育の中でトップクラスの課題です。
次の図は、令和2年度の文部科学省の不登校調査の結果です。
中学校の不登校生徒の割合は4%をなんと超えています!
これは40人学級で、どの学級にも1~2人平均で不登校生徒がいることを表しています。
子どもがweb環境と触れる機会が多い現在、不登校の事案はより複雑に、そして増加の一途をたどっています。
どの先生も、目の前の子どもを不登校で悩ませたくないはずです。
そこで、『生徒指導リーフLeaf.14 不登校の予防』の要点解説をしていきたいと思います。
「生徒指導リーフって何?」
生徒指導に関する問題点や疑問点などにスポットを当てて、解説や提案をしている生徒指導資料です。国立教育政策研究所から発行されています。
ただ、残念ながら先生方にあまり浸透していない印象があります。
そのうえ読んでも、何をどうしたらいいかが分かりにくいです。
国立の機関が生徒指導の方針を示しているので、少なくとも公的に認められている内容になっています。
そんな生徒指導リーフLeaf.14 不登校の予防を、シチサン目線で解説します!
- 不登校の予防となる「未然防止」と「初期対応」
- 不登校はどの状況を指すのか
- 「不登校を予防するために、まず何をしたらいいのか」と思うあなたが今やるべきこと
- シチサン(生徒指導に関するブログを書いています)
- 小・中学校教員経験6年、生徒指導主事経験3年
- 現在は民間企業でB to B営業職
生徒指導リーフの内容を受けて、
それで、何をすればいいんですか?
という先生へ、最後に具体的に何をやるべきか、ということも共有しています!
ぜひご参考にしてみてください!
不登校の予防は「未然防止」と「初期対応」
不登校の予防として、「未然防止」と「初期対応」の働きかけが大切です!
- 未然防止
特定の児童生徒を想定せず、全ての児童生徒を対象に学校を休みたいと思わせない「魅力的な学校づくり」を進めること。
基本は授業や行事等の工夫や改善。
- 初期対応
学校を休みそうな児童生徒や、休み始めた児童生徒に個別対応すること。
休みがちな子どもを対応だけではダメなんですか?
それだけでは、予防としては十分ではありません。
可能性という意味では、どの子どもも不登校になってしまうことはあり得ます。
だからこそ、全体の「未然防止」と、個別の「初期対応」が必要になります。
では、次でもう少し具体的に解説していきます!
全児童生徒を対象にして不登校を「未然防止」する
全ての児童生徒が落ち着ける居場所づくりと、活躍できる場面を作ることが鍵。
長期間欠席する児童生徒が多い場合は、学校に問題が生じていると受け止め、授業や行事の見直しを行うことが求められる。
全ての児童生徒が学校に来ることを楽しいと思えて、充実した学校生活が送れれば、不登校にならない、という考えの上に成り立っています。
全ての児童生徒を対象にしているため、学校としての取り組みが求められます。
先生個人では、学級などの単位で可能な限り未然防止を図ることが大切になりますね。
不登校の兆候がある児童生徒を個別に「初期対応」する
過去の学年で長期欠席が見られた児童生徒が、欠席を2~3日続くと不登校の予兆として捉える。
不登校の予兆がなかった児童生徒が、ある日突然連続して休む場合は、いじめや家庭内暴力・児童虐待などの異常事態の可能性あり。
前年度の欠席状況を教職員で共有しておくことが大切。
「未然防止」が全ての児童生徒が対象だったのに対し、「初期対応」は個別の児童生徒が対象になります。
初期対応は治療的な要素があります。
早期発見・早期対応など、予想される問題の早めの解決を図るような治療的な視点です。
とはいえ、起きている問題を完全に除外して、登校できるようになっても、シチサンの経験上長続きしない可能性が高いです。
数日休んででも、本人・保護者・先生が問題を明確に捉えることが大切です。
そもそもどの状況を不登校と言うのか?
何らかの心理的、心情的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの
文部科学省
まとめると、
- 年間30日以上欠席した子どもが対象。
- 何かしらの理由で登校しない(できない)。
- その理由は、本人の「病気」と家庭の「経済的理由」以外。
以上が不登校と呼ばれる子どもの状況になります。
さらに、何かしらの理由とされているものをまとめると、
- 無気力や不安
- 生活リズムの乱れ、あそび、非行
- 友人関係をめぐる問題(いじめを除く)
- 親子の関わり方
- 学業不振
上から不登校理由として多い順になっています。
小中学校の子どもの不登校の理由としては「無気力や不安」が4割を超えるほどの多さです。
これらの理由を踏まえて、不登校の予防を目指していくことが大切になっていきます!
「不登校を予防するために、まず何をしたらいいのか」今やるべきこと
それで、まず何をすればいいんですか?
ここまでは生徒指導リーフの内容についてお話してきましたが、ここからは何をやるべきかお話します!
不登校を予防するために、それぞれまずすべきことは、次のとおりです!
- 未然防止
子どもたちの失敗を肯定的に受け止めさせて、前向きに考えさせる。
- 初期対応
生徒指導主事・学年主任にまず報告!対応案を1つは考えておく。
それぞれ解説しますね。
子どもたちの失敗を肯定的に受け止めさせて、前向きに考えさせる。
失敗をきっかけに、無気力や不安が生じる子どもは少なくありません。
だからといって、先生が失敗を否定していては、学級が落ち着く場所とはなりません。
先生が学級の子どもたちの失敗を認めてあげるところから、未然防止に繋がっていきます。
どうやって失敗を肯定的に捉えるんですか?
ただ一言、「ナイストライ!」と笑顔で声をかけてください!
子どもたちは、失敗に対して
- 恥ずかしい
- 誰かにバカにされるかもしれない
- 失敗しているところを見られたくない
と、ネガティブな意識を持っています。
というか、多くの人はそうだと思います。
先生から「ナイストライ!」と失敗を肯定的に認めてあげることで、
- いい失敗をしたな
- 挑戦したことを周囲の子どもがほめる
- 挑戦しやすい空気が生まれる
と、ポジティブな意識へと変換することができるんです!
そんな簡単にできるんですか?
もちろん簡単ではありません。
失敗を笑う子どももいます。
ただ、先生が認めてくれたおかげで救われる子どもは絶対にいます。
あなたの「ナイストライ!」で子どもたちの居場所をつくってあげてください!
生徒指導主事・学年主任にまず報告!対応案を1つは考えておく。
「初期対応」で必ずしなくてはいけないことが、報告です!
絶対に生徒指導主事、もしくは学年主任に内容を伝えておきましょう!
ときには、先生のミスによって生じた問題も出てきます。
こんな時、なかなか報告がしづらいと思います。
その理由として、
- ミスを責められたくない
- 自分で何とかできる
- 現状で報告すべき事案か、自分では判断がつかない
などが挙げられます。
それでも、気が重くても、必ず報告しましょう!
報告するメリットは主に次の3つ!
- アドバイスがもらえる。
- 問題が悪化しても、すぐフォローできる。
- 自分一人だけの責任ではなくなる。
先生にとっていいことしかないですね!
また、報告する場合は、「私はこうして対応しようと考えていますが、いかがでしょうか」などの対応案を1つは用意しておきましょう!
全てが「どうしましょう?」になると、なかなか自分で対応できるようにならないんです。
却下覚悟で用意だけしておくことをオススメします!
報告せず、問題が悪化すれば、かなり大変になります。
子どもの不登校は深刻化し、先生方に大きな迷惑をかけ、自分の対応が良くなかったことが原因になっていまいます。
これは絶対に避けなければいけません。
まとめ:不登校は自分だけでは解決できないけれど、まずは自分でできることを少しずつ。
本記事では、不登校の予防について解説しました!
不登校の予防として、「未然防止」と「初期対応」の働きかけが大切!
- 未然防止
特定の児童生徒を想定せず、全ての児童生徒を対象に学校を休みたいと思わせない「魅力的な学校づくり」を進めること。
基本は授業や行事等の工夫や改善。
- 初期対応
学校を休みそうな児童生徒や、休み始めた児童生徒に個別対応すること。
じゃあ何をすればいいの?って思う先生へ、まずやるべきことは次の2つです!
- 未然防止
子どもたちの失敗を肯定的に受け止めさせて、前向きに考えさせる。
- 初期対応
生徒指導主事・学年主任にまず報告!対応案を1つは考えておく。
不登校の問題解決は、簡単なものではありません。
タイミングやその時の状況など、先生側ではコントロールできない運のような要素もあります。
なので、絶対にこうしたらいい、ということはなかなか言えません。
ただ一つ言えるとすれば、先生が子どものためにできることを少しずつ取り組むこと。
周囲の先生を頼ることも、先生のできることの一つです。
できることの積み重ねの結果、不登校の予防ができることを祈っています!
参考になったら嬉しいです!
読んでくれてありがとうございましたー!