学級に発達障がいをもっている子どもがいます。
どう指導していけばいいか悩んでいます。
発達障がいをもつ子どもって、思っていた以上に多いですよね。
文部科学省の調査によると、
『通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある児童生徒は6.5%』
と言われています。
30人学級であれば、6.5%は1.95人。2人程度が発達障がいの可能性が高いことになります。
この調査は2012年2月に実施されているので、10年以上古いデータです。
数値はあくまで、参考程度にしていただければと思います。
30人学級で2人程度ということは、多くの担任の先生が発達障がいをもつ子どもを指導しているということですよね。
経験の少ない先生も、指導に自信がない先生も、担任をすれば必ずと言っていいほど指導の場面があるはずです。
そこで、『生徒指導リーフLeaf.3 発達障害と生徒指導』の要点解説をしていきたいと思います。
「生徒指導リーフって何?」
生徒指導に関する問題点や疑問点などにスポットを当てて、解説や提案をしている生徒指導資料です。国立教育政策研究所から発行されています。
ただ、残念ながら先生方にあまり浸透していない印象があります。
そのうえ読んでも、何をどうしたらいいかが分かりにくいです。
国立の機関が生徒指導の方針を示しているので、少なくとも公的に認められている内容になっています。
そんな生徒指導リーフLeaf.3『発達障害と生徒指導』を、シチサン目線で解説します!
- 発達障がいをもつ子どもにどんな指導をすればいいのか
- 「発達障がいをもつ児童生徒のために、まず何をしたらいいのか」と思うあなたが今やるべきこと
- シチサン(生徒指導に関するブログを書いています)
- 小・中学校教員経験6年、生徒指導主事経験3年
- 現在は民間企業でB to B営業職
生徒指導リーフの内容を受けて、
それで、何をすればいいんですか?
という先生へ、最後に具体的に何をやるべきか、ということも共有しています!
ぜひご参考にしてみてください!
発達障がいは「発達障害」と本来は漢字表記されています。
しかし、「害」という漢字がマイナスの印象をもつため、ひらがな表記されることが増えてきました。
教育現場では、ひらがな表記が推し進められていることもあり、当ブログではひらがな表記を基本としています。
発達障がいをもつ児童生徒にどんな指導をしていけばいい?
発達障がいをもつ子どもは「つまずきやすい」という見方で工夫が大切!
その子どもに『個別支援』と『集団指導』を意識して対応することが必要です!
「個別支援」と「集団指導」って何ですか?
もう少し具体的に説明します。
- 個別支援
「つまずきやすい」子どもに対して、その子どもに合わせた助言や支援を行う。
- 集団指導
「つまずきやすい」子どもだけでなく、他の子どもも互いに理解し合い、助け合って共に伸びていこうとする集団づくりを進める。
『個別支援』と『集団指導』の2つが、発達障害をもつ子どもに対する学級経営のキーワードとなります。
では、この2つのキーワードを中心にここからは、
- 個別支援が必要な状況と支援の例
- 発達障がいをもつ児童生徒に対応する集団指導とは
- 個別支援と集団指導の押さえるべきポイント
について解説していきます!
個別支援が必要な状況と支援の例
発達障がいの特徴が見られる子どもは、『困難』を感じている状況が多く存在します。
よく見られる『困難』と、その支援の例を以下の図にまとめました。
「困難」に明確に対応する個別支援を考えることが大切になります。
発達障がいをもつ児童生徒に対応する集団指導とは
集団指導において重要なことは次の3つです。
- 児童生徒理解
- 安心して学べる学級づくり
- 分かりやすい授業づくり
1つずつ解説しますね。
児童生徒理解
生徒指導の基盤となるのは、児童生徒一人一人についての児童生徒理解です。
「困難」を理解し、「困難」を感じている子ども全員を視野に入れて集団づくりを進めることが求められます。
安心して学べる学級づくり
児童生徒理解を踏まえ、どの子どもにとっても安心して学べる学級づくりをすることが大切になります。
そのためには、次の2点が子どもに求められます。
- 子ども同士が自他の個性を尊重し合うこと
- 互いに協力して共に伸びていこうとすること
あくまでも子どもに求められることです。
先生ができることは、その環境や文化をつくってあげることですね。
これにより、居場所づくりと絆づくりを実現し、安心して学べる学級づくりを進めます。
分かりやすい授業づくり
学級づくりと同様に、児童生徒理解を踏まえ、分かりやすい授業づくりをすることも大切になります。
子どもが何に「困難」を感じているのか分かれば、それが授業づくりのヒントになります!
どうすればつまずかないように学べるか、子どもを見て「困難」を理解しましょう!
個別支援と集団指導の押さえるべきポイント
個別支援も集団指導も、並行して進めていくことで発達障がいをもつ子どもを支えていきます。
それぞれ押さえべきポイントの例を以下の図にまとめました。
個別支援と集団指導はバランスよく。
つまり、片方でも手を抜いてはいけないということです。
経験すれば、呼吸同様にできるようになれます!
最初は大変ですが、どちらも注力して学級経営しましょう!
「発達障がいをもつ児童生徒のために、まず何をしたらいいのか」と思うあなたが今やるべきこと
それで、まず何をすればいいんですか?
ここまでは生徒指導リーフの内容についてお話してきましたが、ここからは何をやるべきかお話します!
発達障がいをもつ子どものためにまずすべきことは、次の2点です!
- 個別支援
発達障がいをもつ子どもの困難・理由・対策を書き出し、実行する。
- 集団指導
学級の子どもに何事も質問する。
それぞれ解説しますね。
発達障がいをもつ子どもの困難・理由・対策を書き出し、実行する。
まず最初に困難を明確に把握しましょう!
困難を明確に把握できていない状況をサッカーで例えるなら、
選手がどっちにゴールがあるのか理解できていないようなものです。
把握できていないまま解決することは、まずあり得ません。
学校生活の困難が把握できてきたら、理由・対策を書き出します。
どんな感じで書き出すんですか?
メモでかまわないので、思いつく限りどんどん書きます!
例を紹介しますね!
「予定変更が苦手な子ども」の場合としましょう。
困難 | 予定変更に対応できず、パニックになる。 |
理由 | ・こだわりが強いから。 ・不安を感じるから。 ・先生に嘘をつかれたと感じてしまうから。 |
対策 | ・学級全体に伝える前に、その子どもだけ先に伝えておく。 ・図を描いて、何がどう変更したのか見て分かるようにする。 ・落ち着いて教室に入れるようになってから、教室に入れる。 |
コツとしては、思いつくまま勢いで書きます。
現実的でないことでも書いてかまいません。
書いた中で、理由として信憑性が高そうなもの、対策としてすぐできて効果が出そうなものも選びましょう。
あとは、実際に子どもの指導をするだけです!
あまり効果がないと思ったら、別の対策を実行しましょう!
失敗を繰り返さないと、最良の対策は絶対にできません。
どんどん書いて、どんどん実行・失敗して、最良の対策を目指しましょう!
「指導の失敗を繰り返すことが子どもや保護者に失礼」と他の先生に言われることがあります。
まず、そんなことはありません。
積極的に行動していることを、感謝してくれる保護者の方は多いです。
子どもによい変化が現れる可能性も高くなるので、失敗は必須です!
学級の子どもに何事も質問する
児童生徒理解において、先生と子どものコミュニケーションか欠かせません。
そこで、有効な手段が「何事も質問」です!
コミュニケーションを図れるうえに、子どものことを知ることができます。
発達障がいをもつ子どもに限らず、どの子どもにも質問しましょう。
質問内容は簡単なものでかまいません。
授業のことや、友達のこと、子どもの趣味や好きなこと…
前向きな内容だと子どももきっと答えやすいです!
その積み重ねが、児童生徒理解に繋がります!
子どもの考え方や行動の特徴や家庭環境など、授業だけでは見えない部分がたくさん見えるようになってきます!
子どもが率直な意見を言ってくれるようになれば、
「学級のこと」や「授業のこと」を質問してみると子どもの視点でアドバイスしてくれることもあります。
学級の内側を見ている子どもの意見は貴重です。
子どもに責任は負わせられないので、あくまで参考ですが、
きっと「なるほどなー」と思わされる発言をしてくれますよ。
まとめ:「つまずきやすい」状況にならないように「困難」と向き合いましょう!
発達障がいをもつ子どもにどんな指導をすればよいか解説しました!
発達障がいをもつ子どもは「つまずきやすい」という見方で工夫が大切!
子どもに『個別支援』と『集団指導』を意識して対応することが必要!
- 個別支援
「つまずきやすい」子どもに対して、その子どもに合わせた助言や支援を行う。
- 集団指導
「つまずきやすい」子どもだけでなく、他の子どもも互いに理解し合い、助け合って共に伸びていこうとする集団づくりを進める。
そして、個別支援と集団指導というキーワードから3点解説しました。
- 個別支援が必要な状況と支援の例
- 発達障がいをもつ児童生徒に対応する集団指導とは
- 個別支援と集団指導の押さえるべきポイント
じゃあ何をすればいいの?って思う先生へ、まずやるべきことは次の2つです!
- 個別支援
発達障がいをもつ子どもの困難・理由・対策を書き出し、実行する。
- 集団指導
学級の子どもに何事も質問する。
発達障がいの子どもは、「困難」に直面することは多々あります。
発達障がいの子どもだけでなく、他の子どもも「困難」を感じていることがあります。
どの子どもも「つまずきやすい」状況が生まれる可能性はあるんです。
「困難」を感じている子どもの問題と、正面から向き合いましょう!
「困難」を理解してもらえず、子どもは苦しんでるかもしれません。
「困難」が解消されず、諦めてしまっているかもしれません。
だからこそ、あなたが「困難」と向き合えば、その子どもの人生が変わる可能性だってあります!
発達障がいの個別支援、集団指導はほとんどの学級で必要になると思います!
あなたの指導で、子ども自身が「困難」を理解し、「つまずきにくい」生活を獲得できるようになることを祈っています。
参考になったら嬉しいです!
読んでくれてありがとうございましたー!