生徒間トラブルの対応ばかりで困っています。
どうやってトラブルを予防すればいいでしょうか?
学校生活の中で、生徒同士のトラブルは避けて通れませんよね。
学校・学級によってもちろん違いますが、ほぼ毎日トラブルの対応に追われて困っている先生も少なくないと思います。
ずっと生徒間トラブルの対応をしていると身がもちませんよね…
そこで、『生徒指導リーフLeaf.5 「教育的予防」と「治療的予防」』の要点解説をしていきたいと思います。
「生徒指導リーフって何?」
生徒指導に関する問題点や疑問点などにスポットを当てて、解説や提案をしている生徒指導資料です。国立教育政策研究所から発行されています。
ただ、残念ながら先生方にあまり浸透していない印象があります。
そのうえ読んでも、何をどうしたらいいかが分かりにくいです。
国立の機関が生徒指導の方針を示しているので、少なくとも公的に認められている内容になっています。
そんな生徒指導リーフLeaf.5「教育的予防」と「治療的予防」を、シチサン目線で解説します!
- 「治療的予防」とは?「教育的予防」とは?
- 2つの予防の例
- 「治療的予防と教育的予防のために、まず何をしたらいいのか」と思うあなたが今やるべきこと
- シチサン(生徒指導に関するブログを書いています)
- 小・中学校教員経験6年、生徒指導主事経験3年
- 現在は民間企業でB to B営業職
生徒指導リーフの内容を受けて、
それで、何をすればいいんですか?
という先生へ、最後に具体的に何をやるべきか、ということも共有しています!
ぜひご参考にしてみてください!
治療的予防・教育的予防とは?
- 治療的予防 … 問題対応型の予防
問題を起こしそうな(課題のある)児童生徒を踏まえて、早期発見・早期対応・発生予測などにより、解決や解消を目指す。
- 教育的予防 … 健全育成型の予防
全ての児童生徒に対して、問題を回避・解決できる大人へと育つことを目指す。
この2つの予防を使い分けることで、児童生徒のトラブルや問題行動を減らしていきましょう!
本当にトラブルや問題行動が減るんですか?
理解して取り組めば、トラブルは減ります!
シチサンもこの2つは意識して、生徒の指導にあたっていました!
では、次でもう少し具体的に解説していきます!
治療的予防と教育的予防の比較
治療的予防と教育的予防の具体的な違いって何ですか?
それぞれの予防について、次の図で比較してみましょう!
治療的予防【問題対応型】
治療的予防となる例は次のとおりです!
- 問題の早期発見や早期対応
- 問題を起こしそうな児童生徒の予測
- 事前のはたらきかけ
生徒指導において、必然的にこれらの指導をしていく場面がありますよね。
問題を起こした子どもの事後対応に、いつも苦労されている先生も多いと思います。
この子どもに、次の問題を起こさせないように取り組む指導が治療的予防になります!
治療型予防の生徒指導をしている先生がほとんどではないでしょうか。
教育的予防【健全育成型】
教育的予防となる例は次のとおりです!
- 問題の未然防止
- 規則正しい生活習慣
- 子どもが問題の解決や回避を図る
いやいや、これができれば苦労しませんよ!
おっしゃるとおりです!そうなんですよ!
この教育的予防の考えの元となっているのが、生徒指導の目的です。
- 社会性の育成
子どもたちが学校生活の中で、よりよい生活や人間関係を築く能力を獲得していくこと。
- 社会に受け入れられる自己実現
獲得した能力を発揮することで、自己実現を図りながら、自己の幸福と社会の発展を追求していく大人になること。
教育的予防が完全に成立しているならば、生徒指導の目的の達成に大きく近づくと思います。
治療的予防と教育的予防の例(不登校)
例えば、不登校の子どもがいる場合、それぞれの予防で対応が違ってきます。
治療的予防は、「不登校」という問題に応じてなされる予防を指します。
治療的予防
- 「不登校」という問題に関する知見を集める
- 前年度の出席状況を調べて、不登校の可能性のある子どもを予測する
- 休みがちな子どもに教育相談を行う
教育的予防は、先生の場の提供により「不登校」になりにくくする予防を指します。
教育的予防
- 授業や行事などで子どもどうしで関わらせる
- 子どもに望ましい関わり方を気付かせる
- 集団の一員として役割を果たすように促す
それぞれの予防を使い分けの例(荒れた学校)
それじゃあ、「教育的予防」の方がいいってことですよね?
実は、そうじゃないんです。
この2つの予防は、どちらがいい・悪いということではありません!
ここまでの解説では「治療的予防」にネガティブなイメージがあるかもしれませんね。
大切なことは、環境によって2つの予防を使い分けることです!
例えば、荒れている学校と、そうでない学校があります。
この2つは環境が違うので、次の図のように予防を使い分けます。
問題が多くなると、どうしても「治療的予防」に重点を置く必要があります。
少しずつ落ち着きができてくると、「教育的予防」に力を入れるといいですね。
100:0ということでなく、環境によって使い分けながら、バランスがとれるとベストです!
「治療的予防と教育的予防のために、まず何をしたらいいのか」今やるべきこと
それで、まず何をすればいいんですか?
ここまでは生徒指導リーフの内容についてお話してきましたが、ここからは何をやるべきかお話します!
「治療的予防」と「教育的予防」のために、それぞれまずすべきことは、次の2点です!
- 治療的予防
変えるではなく、気付かせる
- 教育的予防
口出しを減らして、信じる
それぞれ解説しますね。
変えるではなく、気付かせる
大前提として、人間はそんな簡単に変わりません。
それじゃダメじゃん!子どもは変えられないんですか!?
子どもが変わりたい、と思えばきっと変わりますよ!
先生の厳しい指導で子どもを変えようとしても、反発したり、何も変わらなかったりしますよね。
子どもが変わりたいと思わなければ、そう変わりません。
そのためには、気付かせて、子ども自身で考え方を変えることが有効です!
気付かせるために、よく話をして、質問して、聞いてあげましょう!
問題を予測している時、または問題が起きた後、
- 問題を避けるには、どうしたらいいだろう?
- どうしたら問題を避けられただろう?
と、聞くと、子どもなりに考えはじめます。
これが「気付かせる」です!
気付かせて、どんどん考えさせてあげましょう!
口出しを減らして、信じる
教育的予防は、子ども自身が成長しながら、問題の回避や解決を促すことが大切です。
その実現のためには、先生の助言などの口出しは減らした方がいいです。
なぜなら、子どもが成長するチャンスを奪ってしまう可能性があるからです。
アドバイスしないと、問題が解決できなかったり、失敗したりするかもしれません!
いいんです!失敗させてあげましょう!
(もちろん、程度にもよるので完全放置はいけませんが…)
失敗することで、子どもはより多くのことを学びます。
失敗を繰り返しながら、問題を回避したり、解決したりする力が身に付いていくはずです。
成功することも、
失敗して次に生きる学びを得ることも、
どちらも信じてあげましょう!
まとめ:予防は使い分ける!ただ、環境によってはバランスを先生が考える必要あり!
「治療的予防」と「教育的予防」について解説しました!
- 治療的予防 … 問題対応型の予防
問題を起こしそうな(課題のある)児童生徒を踏まえて、早期発見・早期対応・発生予測などにより、解決や解消を目指す。
- 教育的予防 … 健全育成型の予防
全ての児童生徒に対して、問題を回避・解決できる大人へと育つことを目指す。
じゃあ何をすればいいの?って思う先生へ、まずやるべきことは次の2つです!
- 治療的予防
変えるではなく、気付かせる
- 教育的予防
口出しを減らして、信じる
予防を意識して取り組むことで、多くの問題を早期にもしくは事前に解決することができます!
ただ、どれだけ言っても予防には変わりません。
起きる問題は、起きます。
先生は、学校や学級、関わる子どもなどの環境をよく観察しておきましょう。
その上で、2つの予防のバランスを考えて指導の方針を定めてみてください!
きっと、あなたの目の前から問題が少しずつ減っていくと思います。
そうすれば子どもも問題に巻き込まれずハッピーです。
予防が十分に図れて、落ち着いた学級になることを祈っています!
参考になったら嬉しいです!
読んでくれてありがとうございましたー!